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水と光 waterlight.exblog.jp

水と霊性に関して、徒然なるままに綴っていきます。


by water-memory
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アンドリュー・カウフマン氏の言説が非科学的な理由について

ロンドンリアルによるアンドリュー・カウフマン氏(Andrew Kaufman)のインタビュー動画の一部が、今朝、YouTubeビデオとしてアップされました。

・DR ANDREW KAUFMAN - UNMASKING THE LIES AROUND COVID-19:
 FACTS VS FICTION OF THE CORONAVIRUS PANDEMIC
 https://www.youtube.com/watch?v=6C_26ZIUlrQ

この動画以外にも、いくつかの彼の動画を私は見てきていますが、主として以下の2つの点で、彼の言説は「非科学的」であり、私としては「間違っている」と言っても過言ではないと思っています。
(1)「PCR検査はインチキである」説
(2)「新型コロナウイルス=エクソソーム」説

(1)のPCR検査については、別記事として記す予定ですので、ここでは触れません。

以下、(2)の点に関して、若干の説明をするとともに、どうして、私が科学的に見て間違っていると考えているか、その理由をいくつか示したいと思います。



さて、「エクソソーム」という言葉ですが、聞き慣れない方も多いかと思います。

「エクソソーム」とは、生きた細胞(勿論、我々ヒトの体の中の細胞も含みます)が必要に応じて細胞外に放出する、膜に包まれた小胞のことです。

# 「エクソソーム」が存在すること自体は、既に昔から知られて
# いて、いろいろな物質を細胞外に輸送もしくは排出するシステ
# ムとして、理解されていました。ところが、このエクソソーム
# の中に、実は遺伝物質RNAが含まれていて、細胞間の通信などに
# も役立っている、ということが、21世紀に入ってから発見され
# てきており、エクソソームに関しては、今や新しい事柄が続々
# と明らかにされてきています。

「新型コロナウイルス=エクソソーム」説では、「新型コロナウイルスは、実は人間自身が、みずからの細胞からエクソソームとして放出したものである」と主張しています。言い換えれば、「新型コロナウイルスなどは、実際には存在しない」と言っているのです。

例えば、カウフマン氏は、以下のように発言しています。

『その過程で、彼ら(=エクソソーム)は実際にこれらの毒を水浸しにし、スポンジのように吸い上げるんです。そうすれば、身体から安全に除去できます。そして回復するのです。ですから、私の主張は、COVID-19(根本注:新型コロナウイルスのこと)は、実際には、我々のエクソソームである、ということです。外から身体を侵略してきたウイルスではありません。自身の身体から発しており、役に立つんです。これは、本当の病気の原因に対する反応なんです』

私にとっては、「目が点」になるほどの驚愕の言説です。



以下、私が今思いつく限りにおいて、いくつかの反論ならびにコメントを記します。

(1)
新型コロナウイルスのRNAとヒト由来のRNAは、互いにまったく異なる配列を持っているはずです。
 コロナウイルスについては、そのいくつもの変異種について、遺伝配列がデータベースに入力されており、ヒトに関しても、そのゲノム全体の遺伝配列が明らかにされています。
 もしも両者の間に共通の配列があるのであれば、誰かが報告しているはずですし、それはセンセーショナルな大発見となったことでしょう。

# ちなみに遺伝情報のデータベースはネット上で無料で公開され
# ていますし、膨大なデータベースの中から、似た配列のものを
# 探し出してくるソフトウエア・ツールもまた、ネット上で誰で
# も無料で使うことができます。すなわち、その気になれば (^^;)、
# あなたも私も、新型コロナウイルスのRNAと同じ遺伝情報が、
# 果たしてヒト・ゲノムに存在するのか否かについて、調べ尽く
# すことができます。

 さらに付け加えれば、エクソソームに含まれているRNAの主要サイズは20から300文字と言われていますが、新型コロナウイルスのRNAの長さは約3万文字なので、話が違い過ぎると思います。

(2)
もし新型コロナウイルスの実体がエクソソームであるのならば、新型コロナウイルスに対する抗体を、ヒトは作ることができないはずです。なぜなら、カウフマン氏の説が正しいのであれば、エクソソームのタンパク質はすべて、ヒトのタンパク質として作られているはずであり、免疫系は、病的にならない限り、自分自身のタンパク質には反応しないからです。
 ところが、現在、ヒトにおいて、新型コロナウイルスの抗体検査が行われてきています。ということは、当然のことながら、ヒトは、新型コロナウイルスに対する抗体をしっかりと作ることができるわけです。
 仮に新型コロナウイルスがエクソソームであったとして、それに対する抗体を私たちが作ることができるのならば、私たちは自己免疫疾患になってしまうことでしょう。

(3)
電子顕微鏡で観察すると、新型コロナウイルスの場合には、表面に特有のスパイク構造が見られます(下図・右)。一つ一つの突起は、スパイクタンパク質というものが3つ集まって作られていることが知られています。この構造は、エクソソームにはまったく見られません(下図・左)。

アンドリュー・カウフマン氏の言説が非科学的な理由について_c0223653_362917.png

 それなのに、カウフマン氏は、同じ電子顕微鏡写真を見て、「新型コロナウイルスとエクソソームは同一である」と断言しています。
 エクソソームの場合には関与するタンパク質について、既にある程度の分析が進んでいます。コロナウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質が、エクソソームの表面にも存在している、ということが、もし発見されたとしたら、それもまた、かなりセンセーショナルなことになっているでしょう。

(4)
新型コロナウイルスの人から人への感染については、皆様ご存じの通り、感染経路を追うことができます。
 「新型コロナウイルス=エクソソーム説」の場合、外部から侵入してくる粒子などとはまったく関係なく、毒物が細胞内に溜まりすぎたというような内部的な原因によって、「感染」した人々に症状が出る、と考えています。
 すなわち毒物が細胞内に溜まりすぎると、細胞は毒物を取り込んだエクソソームを細胞外に放出します。エクソソームにはRNAが含まれているので、この細胞外に放出されたエクソソームのことを、人々は新型コロナウイルスであると間違えて捉えてしまっているのだ、とこの「説」では説明しています。
 しかしながら、このような考え方によって、一体どうしたら、「感染経路を追うことができる」という「事実」を説明することができるのでしょうか。私には理解できません。

(5)
これは補足的なコメントですが、ルドルフ・シュタイナーは、1918年にスペイン風邪が流行した時に、同様の説-すなわち、細胞から飛び出した破片のようなものがスペイン風邪の原因となっているという説-を唱えています。
 ルスカらが最初の電子顕微鏡を発明したのは1931年のことなので、シュタイナーの時代には、ウイルス粒子を誰も見ることができなかったはずです(ウイルスは小さすぎて、その姿を観察するためには電子顕微鏡が必要です)。
 そういう時代における直感としては、シュタイナーの考え方は優れたものであった-すなわち、見えないはずのものを見ていた-と私は感じていますが、それでも、シュタイナーの説そのものは、現代的な見地からすると間違いである、と私は思っています。
 ちなみに、ウイルスの「起源」としては、何十億年にも渡る生物の進化の過程におけるどこかの段階で、細胞から、いわゆる「エクソソーム」状のものが飛び出して形成されたのではないか、という説があり、それは私も同意します。
 とは言っても、「現在、リアルタイムで私たちの身体の中で作られているエクソソームが、すなわちウイルスである」と主張するのは、さすがに受け入れがたい説であるように、私には感じられます。

(6)
もう一点、これは後から加えたコメントですが、以下のテレビ番組の中に、ウイルス学者の河岡義裕氏が、サルの腎細胞に新型コロナウイルスを感染させた後の細胞の様子について、電子顕微鏡を使って調べているシーンがあります。

・情熱大陸 #1098「ウイルス学者・河岡義裕」
  https://tver.jp/episode/70642466
 2020年4月12日放映

私たち視聴者も、確かに表面にスパイクと呼ばれる特有の突起を持ったウイルス粒子(これはまさに新型コロナウイルスそのものです)が、たくさん細胞から放出されている様子を確認することができました。

これは明らかにエクソソームではありません。ウイルスを感染させていない、同じサルの腎細胞においては(すなわち対照実験においては)、スパイクと呼ばれるこのような特有の構造を持った小胞は観察されていないことを、当然のことですが、確かめていると思います。

世界的な学者である河岡義裕氏が、こんな初歩的なことを間違えるはずもありません。

河岡義裕氏に関しては、ネット上では、毀誉褒貶、さまざまな説が唱えられていることを、私はある程度フォローしていますが、私が上に記した内容については、何らかのトリックやフェイクということはあり得ないと思います。



【補足】

ロンドンリアルによってYouTubeにアップされたカウフマン氏へのインタビュー動画ですが、字幕大王がさっそく日本語化してくれています。

・London Real:アンドリュー・カウフマン:
 コロナウイルスのウソを暴く

この中に以下のくだりがあります。

『しかし、この(今回の)コロナウイルスが、どう(以前の)SARS Cov-1に関連しているかという彼らの言い分としては。。。事実として、彼らは(今回のものを)SARS Cov-2と呼ぶわけですが、配列の同一性です』

『そして、彼らが発見したのは、80%弱の一致を見たと。そして、こう言うわけです、これは関連しており、それをSARS Cov-2と呼んだわけです。しかし、人間とチンパンジーの遺伝子配列を比較してみると、これは96%なんです、一致率としては。ですから、我々は明らかにチンパンジーではありませんし、誰もいいませんね、我々の遺伝子物質はチンパンジー属の一部だなどと』

『しかし、それでも彼らは配列の一致性を、これは80%を切るんですが、96%に比較するとはるかに低いのに、これはコロナウイルスだというわけです、それが理由で』

これって、遺伝子について、余り詳しくない人にとっては、もしかしたら説得力のあるロジックかも知れませんが、私からすれば、「噴飯物」と言っても過言ではありません。

こんな馬鹿げた理屈付けは初めて見ました。

80%と96%という数値は直接的に、ナイーブに比較したところで、何か言えるものではありません。

こんな議論が通用するのであれば、例えば、私は以下のように説明します。

# かなり荒っぽい議論ですが、カウフマン氏のロジックと同等以上
# の正当性はあるでしょう。

『ヒトもチンパンジーもそのゲノムの大きさは30億文字です。そのうち4%が異なるというわけですが、4%を実際に計算すると1億2,000万文字になります』

『その一方で、コロナウイルスのゲノムの大きさは3万文字です。SARS Cov-1とSARS Cov-2(これが新型コロナウイルスです)の間では20%異なっているということなので、その文字数は6,000文字になります』

『従って、ヒトとチンパンジーの間では、1億2,000万文字も遺伝情報が異なっていますが、SARS Cov-1とSARS Cov-2の間では、たったの6,000文字しか異なっていません。その差は2万倍です。従って、ヒトとチンパンジーの間の関係と比べると、SARS Cov-1とSARS Cov-2がずっと近縁なのは当たり前のことです』



アンドリュー・カウフマンさんについては、ビデオ映像からすると、好人物だとは思うのですが、科学的な見地からすると、残念ながら、ちょっと受け入れがたい人物のように私には感じられます。

例えば、「水は情報を記憶する」説に関しては、今や、例のリュック・モンタニエ博士を始めとして、何人かの科学者・研究者が、科学的な証拠を提示しています。

ですが、この「新型コロナウイルス=エクソソーム」説に関しては、それを支持する確かな証拠はないと思いますし、この「説」を信じる人たちは、私がザッと挙げた(1)から(4)までの点について、「説」に基づいてちゃんと説明できないといけないのですが、彼らが説明できるようには私にはとても思えません。



ところが、アンドリュー・カウフマン氏の言説については、たとえばデイビッド・アイクは、4月6日のロンドンリアルによるインタビュー第2弾において、その冒頭で延々とカウフマン氏の説-「PCR検査はインチキである」説と「新型コロナウイルス=エクソソーム」説の両方とも-を説明していましたが、これは私にとっては、まったくいただけませんでした。

カウフマン氏の言説については、デイビッド・アイクのみならず、5Gに関して警鐘を鳴らしているトーマス・コーエン(Thomas Cowen)さんも信じてしまっているようです。とはいえ、トーマスさんは、元々シュタイナーの信奉者の方のようなので、その流れもあって、致し方ないことかなあ、とも私は思っています。

ですがデイビッド・アイクに関しては、カウフマン氏の言説を信じてしまったことによって、それよりもはるかに重要な、より深い次元の話(bigger picture)についても-「彼ら」に「腰をすくわれて」-もろともに否定されてしまうようなことがあったとしたら、それはとても残念なことですし、私はそのことをとても危惧しています (^^;;;)。
 
根本 泰行@愛・光・感謝
オフィス・マサル・エモト顧問


by water-memory | 2020-04-30 15:00 | アンドリュー・カウフマン